純文学作品の構造
または、純文学ぽい仕上がりにするための執筆マニュアルです。
- ストーリーはシンプルだが、裏のメッセージが浮かび上がる絶妙な大道具と配役がある。カフカの城、芥川の河童などは、一見シンプルでナンセンスな舞台だが、奥に深く鋭い問題提起がある
- エピソードはそれぞれ完結し、余計な伏線がない。ややこしい人間関係や背景があると面倒になって楽しめない。純文学の読者は刹那性を求める
- エンディングは、死ぬか振り出しに戻るかが多い。根本の問題が解決する話は少ない。エンディング自体がたいして重要ではない
- 取り上げるテーマのおもしろさ、文体や構成のおもしろさ、社会への批評性。この3要素のうち、2つを持っている
- 基本短い。長くても独立したエピソードが短編的に入っているだけ
- 一人称が多い。三人称の場合は、物語性がある中間小説に近づくか、メタ記述(作者の意識が見えたり、登場人物や舞台に対する批評)的なニュアンスが出てくる
- いいことやいい話を書こうとしない
- 陳腐な直喩の利用には特に厳しい業界。ひとつひとつのレトリックが、世界初でかつおもしろいものであること(翻訳小説だと多用される直喩だが、国内では厳しい。騙されないように)
- センテンスはたまに長くしたり、あえて読みづらい感じにするのもテクニック、というか芸
国内の純文学作品と呼ばれるものは、こんな構造が多いです。参考までに&自分メモ