山羊と夢とか
灰色の世界を夢にみて
青の世界を夢にみて
目を醒ませばここに
また冷たい朝日が
越えられない柵
山羊は坂道を駆け上がる
目を血走らせて涎たらし
首を左右前後に
草を蹴って苦しく
胸は破れそうで
汚れた毛並み
いままさに
茨の柵に飛び込む
引っかかれた血と
その向こうに
灰色の世界とノイズ
薄気味悪い黴だらけの
悪夢のような
いや悪夢ではなく
現実
だれもが本当は帰りたい
赦されるまで振り向いてはならない
息の詰まる宇宙空間に
いるんじゃないかって
そういうくだらない
くだらなすぎる妄想は
夕立の青い臭いと
吐き気と膝の痛み
夜が煙ってくると
いつもうれしくって
また夢を見たくなって
灰色の世界
青の世界